FC2ブログ

裏庭から見る秋花火

良いと思った本や漫画などの感想を書いていきます

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

城山三郎 「鼠 鈴木商店焼打ち事件」 (1975年)

日商岩井、帝人、神戸製鋼などの前身である総合商社「鈴木商店」の大番頭、金子直吉の生涯と、鈴木商店焼き討ち事件の真相を追求したドキュメント。

前半は、企業の成長期にみられる自由闊達、行け行けドンドンな雰囲気が感じられ、読んでいて非常に楽しい。
全盛期にはスエズ運河を通る船の一割が鈴木商店の船だったとか、景気の良い話がバンバン出てくる。
第一次大戦のときにロンドン支店に打った電報がふるっている。
BUY ANY STEEL, ANY QUANTITY, AT ANY PRICE.

しかし、絶頂期は長くは続かず、大戦後の不況や米騒動の際の焼打ち事件などを経て鈴木商店は急速に衰退に向かう。

組織が巨大化する事による様々な歪みをリアルに描いた問題作であり、個人的には、城山作品の中では最高傑作であると思う。



スポンサーサイト
  1. 2012/12/12(水) 23:43:30|
  2. 和書
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

スタインベック 「怒りの葡萄」(上下) (大久保康雄 訳)(1967年)

スタインベックの代表作。

農民にとって古き良き開拓時代は過去になり、不作、天災、土地を担保にした借り入れ、小作農への転落、ついには資本主義と機械化の波に呑まれて土地を失い、より良い暮らしを求めてカリフォルニアへ向かう人の群れ、その何十万人もの人間の中の一家族の物語である。

折りしもアメリカは恐慌に見舞われ、カリフォルニアも楽園ではない。
大規模農園に100人の日雇い仕事があれば1000人が殺到し、賃金は雇い主の思うがままに切り下げられる状態、飢えが蔓延し、金も尽き、仕事の無い冬が近付いてくる。

しかし絶望的な状況にも関わらず、希望を持って明るく生きようとする家族、特に男性どもが弱気になるなかで、皆を勇気付ける母親が印象的である。
悲惨な行く末しか予想し得ない状況が淡々とした文章で綴られており、かえって凄みのある小説になっている。
特にラストシーンには戦慄させられる。

小説だとわかっていながらも、一家のその後が気になってならない。





  1. 2012/12/11(火) 23:01:59|
  2. 洋書(翻訳)
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

ガルシア=マルケス 「百年の孤独」 (鼓直 訳)(1967年)

無人島に本を一冊持って行くとしたら、間違いなくこの本を選ぶだろう。

物語の舞台は、南米のマコンドという村。
マコンドが、ブエンディア一族により造られ、発展し、そして予言者の予言通りに滅亡していくまでの100年の歴史が走馬灯のように描かれる。

物語は様々なエピソードの連続から成り立っており、脈絡が無いように見えながらも、ブエンディア家の宿命ともいうべき人間の業を軸に、速度を増しながら回転するように展開する。
目眩を感じるようなその回転に揺さぶられながら、知らず知らずのうちに物語に引き込まれてしまい、読み終わった後には現実に戻るのにしばらく時間がかかる。

色々な人に勧めているが、とても良かったという人と、話の脈絡が無さ過ぎて読むに堪えないという人の、二通りに大きく分かれている。



  1. 2012/12/10(月) 19:59:52|
  2. 洋書(翻訳)
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

村上龍 「希望の国のエクソダス」 (2002年)

現在の国家システムと教育制度が限界を迎え、日本中に閉塞感が漂う中で、全国の80万人の中学生が登校を拒否し、独自のネットワークを構築して起業し、地域通貨まで発行してしまうという話。
突拍子も無い話だが、有ってもおかしくないと思わせてしまうところが作者の筆力である。

社会は異質なものに対しては拒否反応を示す。
大人たちは、中学生達との価値観の違いに戸惑い、経験の無さを心配し、純粋な故の危うさを危惧し、管理できないと見るや無視しようとする。

本書の中で大人たちが中学生達に対して感じる言い知れぬ不安は、それはそのまま読み進む読者の不安へと反映される。
若者にとって希望を持つためのハードルが高くなり、社会の二極分化が進み、その状態が極限に達した時にどのような動きが出てくるか。
その予想の一つが本書であると思う。

経済情勢や為替市場についての描写もリアルで、相当に綿密な取材をしたのだと感じる。



  1. 2012/12/09(日) 21:24:56|
  2. 和書
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

デイヴィッド・リス 「珈琲相場師」 (松下祥子 訳)(2004年)

舞台は17世紀のアムステルダム。
相場師ミゲル・リエンゾは砂糖の取引で大損し大きな借金を抱えていた。
彼はふとした事から、まだヨーロッパにはほとんど入って来ていないコーヒーという商品を知る。
コーヒー流行の兆しを感じたミゲルは、これで大儲けしようと企むが…。

協力者と裏切り者、大物相場師による妨害、彼がユダヤ人であることも様々な障害となる。
誰が味方か敵かもわからない状況でも自分の勘と推理を頼りに事実を見極めていかねばならない。
相場師という人種の行動原理が良く表れていると思う。

どんなに苦境に陥っても前向きに対処していく主人公に共感を覚えた。
時代考証が綿密でウソ臭さが無いのも素晴らしい。
あたかも当時のアムステルダムにいるような錯覚さえ覚える。



  1. 2012/12/08(土) 02:20:13|
  2. 洋書(翻訳)
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
次のページ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。